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紅い空・・・・・果てしなく広がる紺碧の海の中、小さな島がひとつだけある。
その島の中心部、何かの研究施設が城塞のように聳え立つ。
しかしその施設の周りには人気がなく・・・・そこら中には血煙が漂い、死体が散乱している凄惨な光景が広がっている。
どの死体も腹部からのどにわたって切り裂かれており顔は恐怖に引きつっていた。
しばらくの間島は静寂に満ちていたが、いきなりの金属同士の衝突音でその静寂はかき消された。
研究施設の中央搬入口の前に、歳が14〜5だろうか・・・・
青いジーンズに蒼いGジャン、
額に傷がある蒼髪の少年が涙で顔をくしゃくしゃにしながら襲い掛かってくるロングソードを奇形の剣で止めていた。
その少年はエメラルドグリーンの双眸をギラつかせ、相手を憎しみを込めて睨つける
そのロングソードは18歳ぐらいの赤いジャケットを着た金髪の男の手に握られている。
二人は睨み合ったままその体制から動かず、相手の呼吸を読みあっている。
数秒たち、二人の呼吸が重なった瞬間、赤と蒼の残像を残し二人はぶつかり合う。
赤い男は力で少年をねじ伏せると。肘をひねり込ませ、少年のみぞおちに叩き込む、
その攻撃に、蒼い少年が体制を崩し後ろに倒れると金髪の方が剣を引き、振り下ろす。
蒼い髪の少年は奇形の剣を力いっぱい振り、ロングソードを弾くと左手を軸にして、金髪の男の顔に蹴りを入れる。
赤い男はその蹴りの軌道上に手首を返してロングソードを入り込ませ、蒼い少年の蹴りを防いだ。
少年の足に刃が食い込み、顔に血が滴り落ちる。
だが少年は痛みに顔を歪めることなく、腕をばねにして、立ち上がり様に斬撃を繰り出す。
だがその斬撃もロングソードの横腹に阻まれ、そのままの状態でしばらく沈黙が続いた。
男は失望していた。
自分より戦いに多く接していた相手が自分より遥かに弱いのだ。
(この程度の強さではあいつらに打ち勝つ事は絶対に不可能・・か。気は進まないが・・・・・最後の手段を使うしかないか・・・・)
金髪の男がロングソードを引くと少年に何かを囁いた。その瞬間、少年は目を見開き、憎悪を露にして突っ込んできた。
しかし金髪の男はそれを巧みなステップで交わしそこに気絶している紫色の髪をした女性の近くに立った。
悲痛な叫びをあげながら少年は切りかかるが刃は相手の素手によって掴まれる。
少年は叫びながら何とか剣を動かそうとするがびくともしない。
金髪の男は叫んでいる少年を一瞥すると視線をロングソード気絶している少女に向けた。
その時、金髪の男は顔をうつむけ呟いた。
「許してくれ・・・・・・・」
小さな・・・そして耳障りな音が聞こえてくる・・・・心臓が引き裂かれる音が・・・・・
青い少年はその光景を目の当たりにしなかった・・・・自分の中に湧きあがってくる感情を抑えるのに精一杯で声すら出す事ができない。
少年はなによりも自分の弱さに絶望した。
「命が失われる時というのは以外にあっけないものだな・・・」
怒りに身体を震わせ、嗚咽を漏らしている少年に金髪の男は冷淡な声で言い放った。
少年は力無く立ち上がると自分の中に溜まっていたどうしようもない感情を開放した。
「うああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー」
その大気を震わせた咆哮と同時に、少年を囲むように黒いリングが現れた。
その黒いリングは周りに帯電しているプラズマを吸収し、少年の中へ消えていく。
それからしばらくし、とてつもない程の威圧感と閃光が少年を包み込んだ。
(これがお前の力か・・・・)
その放出された強大なエネルギーを感じ、金髪の男は驚愕と喜びを同時に感じていた・・・
(まだ覚醒すらしていない・・・・・)
少年は叫びながら黒い光を増長させてゆく、自分の周りの空間が歪むほどのエネルギーを発しながら。
(これなら・・・・・・この呪われた輪を閉じる事ができるかもしれない・・・・・・・・俺の役目もこれまでだな・・・・)
黒い光を剣に纏い、突っ込んでくる少年をを見ながら・・・金髪の男は最後に呟いた・・・
「・・・・終わらせてくれ・・・・・歪んだ未来を・・・・」
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